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パーキンソン症候群

【疾患概念】

安静時振戦(じっとしているときに手足のふるえが出現)、筋強剛(受動運動に対し、関節の歯車様または鉛管様の抵抗がみられます)、無動(動作がゆっくりになる)、姿勢反射障害(転びやすくなる)などの症状をパーキンソニズムといいます。このパーキンソニズムをきたす疾患でパーキンソン病以外のものをパーキンソン症候群といいます。同じパーキンソニズムでもパーキンソン病と、パーキンソン症候群とでは様々な違いがみられます。原因によって治療法も異なるため、まずパーキンソン病との鑑別、そしてパーキンソン症候群の原因の検索が重要となります。

【パーキンソン症候群の分類】

パーキンソン症候群は、大きく変性疾患と非変性疾患の2つに分けられます。変性疾患によるものとして、進行性核上性麻痺、大脳基底核変性症、多系統萎縮症、レビー小体型認知症があります。非変性疾患によるものとして、薬剤性パーキンソニズム、脳血管性パーキンソニズム、中毒性パーキンソニズム、脳炎後パーキンソニズムがあります。

【パーキンソン病とパーキンソン症候群の鑑別】

パーキンソン病は、検査所見に乏しく、診断は特有の症状(パーキンソニズム)の有無と他疾患(パーキンソン症候群)の除外によって行われます。実際の外来診療での検討過程では、以下のように考えていきます。①パーキンソニズムの存在(典型的な左右差のある安静時振戦の有無、あるいは歯車様筋固縮、動作緩慢、姿勢歩行障害のうち2つ以上)を評価、②パーキンソニズムを起こす薬物・毒物への暴露歴の確認(抗精神薬、制吐剤、抗潰瘍薬、降圧剤、一酸化炭素中毒、マンガン中毒など)、③脳CT/MRIの特徴的異常の確認(多発脳梗塞、被殻・脳幹萎縮、著明な脳室拡大・大脳萎縮など)、④抗パーキンソン病薬によりパーキンソニズムが改善するか判定を行うことで、パーキンソン病とパーキンソン症候群を鑑別し診断を検討しています。

【診断が難しいケース】

・発症早期の患者様はパーキンソニズムの症状が少なく、はっきりしないことがあります。パーキンソン症候群も発症早期では特徴的な症状がまだ出現せず、画像所見上も明らかでないことが多くあります。薬剤効果判定も軽度ではっきりせず判断に迷うこともあります。このような状況下では、初診での診断は困難となります

・高齢発症の場合はパーキンソン病であっても、進行が通常よりはやかったり、薬剤効果が乏しかったり、画像評価をしても生活習慣病に伴う脳血管異常の要素も加わり慎重な判断が必要となります。

・パーキンソニズムの症状と画像所見とに乖離が認められることもあり、診断のための経過観察が必要となります。

上記のようなケースでは数回の外来診療で診断が難しいため、長期的に専門医外来に通院していただき診断を確定していく必要があります。

【脳神経内科専門医の外来受診の必要性】

パーキンソン病及びパーキンソン症候群の患者様は、発症年齢、職種、ご家族など、現在の状況により治療薬の選択・使用方法も異なります。その為、診断を確定し、薬剤効果や副作用等を理解し加療していく必要性があります。また、疾患によっては経過・予後が大きく異なるため、主治医としっかり話し合い、ご家族も含めた長期的な視点で療養計画を立てていく必要があります。

各種書類申請(指定難病、介護保険、身体障害者手帳、障害年金など)には申請条件があります。安心して治療、療養していく上で大切となりますので、外来で是非ご相談ください。

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