メニュー

筋疾患

【ミオパチーの定義】

ミオパチーとは、骨格筋障害であり、その原因が筋肉自体にあって神経によるものではない疾患の総称です。筋肉そのものに異常がある場合(筋疾患)と、神経筋接合部に異常がある場合(神経筋接合部疾患)に大別されます。

【ミオパチーの分類】

A,筋疾患;

1,筋細胞の異常

  • 筋ジストロフー:ドシャンヌ(Duchenne)型、ベッカー(Becker)型、肢帯型、顔面肩甲上腕型、先天性筋ジストロフー(福山型/非福山型)など。
  • 筋強直性疾患:筋強直性ジストロフー、先天性ミオトニア、先天性パラミオトニアなど。
  • 先天性ミオパチー:ネマリンミオパチー、セントラルコア病、ミオチュブラーミオパチーなど。
  • 遠位型ミオパチー:縁取り空砲型遠位型ミオパチー、三好型遠位型筋ジストロフーなど。    

2,エネルギー代謝の異常

     先天性疾患

  • ミトコンドリア脳筋症:慢性進行性外眼筋麻痺(CPEO)、ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作症候群(MELAS)、赤色ぼろ繊維・ミオクローヌスてんかん症候群(MERRF)、Leigh脳症など。
  • 糖原病:II型(Pompe病)、III型(Forbes-Cori病)、V型(McArdle病)、VII型(垂井病)など。

     後天性疾患

  • 内分泌・代謝性では、カリウム(K)異常、周期性四肢麻痺、甲状腺機能異常、Cushing症候群など。
  • 中毒性では、アルコール、薬剤性(ステロイド、スタチン、甘草など)など。

3、炎症性ミオパチー

 多発性筋炎、皮膚筋炎、封入体筋炎、肉芽腫性筋炎、寄生虫性筋炎など。

 

B,神経筋接合部疾患;

 1,シナプス前膜異常:Lambert-Eaton症候群

 2,シナプス後膜異常:重症筋無力症

 

筋細胞の異常、エネルギー代謝の異常・先天性は新生児・小児期発症の疾患が主で、多くは療養施設に入所しています。なかには社会資源を活用し、在宅療養されている方もおり、このような場合は訪問診療・往診の利用、あるいは外来通院することとなります。

【ミオパチーを示唆する症候】

特徴的な顔貌、易疲労感、筋萎縮、筋力低下、ミオトニア(収縮した筋が弛緩しにくい現象、握った手指が開きにくくなるなど)、筋肉痛、症状が左右対称性であります。

 

*ミオパチーを疑ったら、血清CK値の測定、専門病院での筋電図検査、筋生検の施行を考慮する必要があります。

*なかには多臓器障害を呈するミオパチーもあるため、全身臓器の検索が必要となる場合もあります。

 

【ミオパチーの鑑別】

ミオパチーは筋力低下を示す部位と特異な発症様式によりある程度の鑑別(下記まとめ参照)をすることができます。

ミオパチーの主要な症状は、筋力低下またはミオトニアです。

遺伝性である場合や特徴的外観を呈する場合があり、病歴聴取と神経学的診察のみで診断をつけることが可能な場合もあります。

 

【筋力低下を示す部位】

・近位筋>遠位筋 →筋ジストロフー、多発性筋炎、皮膚筋炎

・遠位筋、ミオトニア →筋強直性ジストロフ

・顔面筋筋力低下 →顔面肩甲上腕型筋ジストロフー、筋強直性ジストロフ

・遠位筋>近位筋 →遠位型ミオパチー

・眼瞼下垂、外眼筋麻痺 →ミトコンドリア脳筋症、重症筋無力症

・近位筋、遠位筋、左右差あり →封入体筋炎

 

【特異な発症様式】

・日内変動を伴う筋力低下および易疲労性 →重症筋無力症、Lambert-Eaton症候群

・運動・寒冷でミオトニア悪化 →高カリウム性周期性四肢麻痺、先天性パラミオトニア

・ミオグロビン尿 →糖原病など

・運動・体食後の発作性の筋力低下 →低カリウム性周期性四肢麻痺

 

【外来診療の実際】

ミオパチーの初診外来では、臨床経過、家族歴有無、神経所見の診察、採血検査である程度診断を絞ることは可能です。しかし、最終的には神経生理検査(筋電図)や筋生検検査が必要とされることが多いです。筋生検検査もただ筋肉を採取し病院病理部へ診断依頼しても組織診断はできません。筋病理は特殊な組織採取、固定・保存が必要であり、診断のために特殊染色が多く必要であるため、その訓練を受けた病理医でないと組織診断が困難です。そのため県内では、組織診断の依頼を県外施設(鹿児島大学、名古屋大学、国立精神神経医療センター等)に頼っている状況です。このような状況ですので確定診断には時間がかかります。

当クリニックでも、ミオパチーの疾患をある程度絞り込むところまでは対応可能ですが、その後の筋肉生検などの精査や治療は高度医療施設(沖縄病院、琉球大学病院)へ連携室を介してご紹介となることをご了承ください。確定診断され、治療も開始された後となりますが、神経難病としての外来リハビリ加療を必要とされる場合は、当院でもサポートが可能ですのでご相談頂ければと思います。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME